12年間で世界に広がった、家族のような友達とのつながり
日本の家庭と、世界中からやってきた旅人が、ひとつの食卓を囲むホームビジット。
2〜3時間の食卓から始まる出会いは、ときに国境を越え、家族のようなつながりへと育っていきます。今回は、12年間で累計100人以上のゲストを迎えてきた小川さんに、お話を伺いました。
長く続けてきたからこそ見えてきた、ホームビジットの魅力をお届けします。

12年間続けてきて生まれた、家族のような友達
——ホームビジットを始めた最初のきっかけを教えてください。
私は若い頃から、旅をするのが好きでした。
留学経験はありませんでしたが、二十歳のときにバックパッカーとして、いろいろな国を巡りました。
その後、妊娠して子どもが生まれ、なかなか旅行に行けなくなった時期に、ある冊子で「ホームビジット」という取り組みを知ったんです。
それを見た瞬間、「あ、これだ」と思いました。
ホームビジットを始めて、気づけば長い時間が経ちました。
「続けている理由は?」と聞かれると、答えはとてもシンプルで、「楽しいから」です。
この12年間で、世界中に“本物の家族のような友達”ができました。
何かあればお互いを気にかけ、連絡を取り合う。
そんな人たちがいると思うだけで、すごく幸せな気持ちになります。
心温まる体験の連続が、今も続けている理由ですね。
一度きりで終わらない、ホームビジットの出会い
——ホストになってよかったと思う瞬間はありますか?
帰り際に「楽しかった」と言ってもらえるときですね。
滞在は2〜3時間ほどですが、そのあとも関係が続いていくことがあって、そこがこの体験の大きな魅力だなと感じています。
一番最初のゲストは、デンマークから来た方でした。
「うちにも遊びにおいで」と言ってくれて、数年後には、子どもと三人で会いに行ったこともあります。
一度きりで終わる出会いではなく、「またね」と未来の約束ができる関係になれるのが、うれしいですね。
始めたばかりの頃は、英語もあまり話せませんでしたが、回数を重ねるうちに、少しずつ分かるようになってきました。
久しぶりに再会したゲストに「英語が上手になってるね!」と言われたときは、うれしかったです。

——リピーターの方はいらっしゃいますか?
けっこういらっしゃいます。
最近も、これまでに2回うちに来てくれたアメリカ人のご夫婦が、3度目の来日の際に「今度は、私たちがご飯をご馳走するよ」と連絡をくれました。
私の家は、都心から電車で少し離れた、千葉県我孫子市にあります。
約束の日は平日で、正直なところ、都心まで出ていくのは時間的に難しいかもしれないな、と思っていました。
それでも彼らは、その距離をものともせず、隣の柏市までわざわざ会いに来てくれたんです。
また別のゲストのご夫婦から、「今度、私の友達を紹介してもいい?」と言われたこともありました。
うちでの体験を気に入ってくれて、その気持ちが次のご縁につながっていくのが、すごくうれしかったです。
毎回、ゲストが帰る前には連絡先を交換して、クリスマスや年末には、写真付きのカードを送っています。
その一枚のカードがきっかけで、思いがけず再会につながったこともありました。
「これから先も、つながれたらいいな」という思いで続けてきたことが、ちゃんと相手にも届いていたんだと感じられた瞬間は、胸がいっぱいになりますね。

ホームビジットと一緒に、家族も育っていく
——ご自身やご家族に、何か変化はありましたか?
始めた当時、長男は10歳、次男は7歳でした。
小さい頃は一緒に食卓を囲むことが多かったのですが、思春期になると、参加しない時期もありましたね。

最近は英語が少し分かるようになってきて、コロナ明けから、またみんなでご飯を食べるようになりました。
私が分からない単語を、息子たちが知っていて、その場で教えてもらうこともあったりして。
ホームビジットを通じて、子どもたちの成長を感じる場面も多いです。
夫はシャイなので、料理担当として協力してくれています。
70代の母は、最初こそ反対していましたが、今ではすっかり馴染んでいます。

母が日本語でいきなり冗談を言うので、私が一生懸命通訳して…(笑)。
うまく伝わらないときも、皆さん雰囲気を汲み取ってくれて、不思議とコミュニケーションは成立するんです。
最後にはいつも「ばあちゃん可愛い」と言ってもらえて、自然と笑いが生まれています。
私自身も成長しているし、家族も少しずつ変わってきていると感じますね。

最初のドキドキは、誰にとっても同じ
——迷っている方へメッセージをお願いします。
最初は、誰でも緊張します。
私も駅で待ち合わせをするとき、「ちゃんと来るかな」「会えるかな」とドキドキしていました。
でも、ゲストの皆さんも同じように緊張しているんですよね。
英語に自信がなくても、一生懸命話そうとすると、相手も理解しようとしてくれますし、噛み砕いた英語で話してくれることも多いです。
基本的に、ゲストの皆さんはコミュニケーションを楽しみに来られるので、三回ほど経験すると、自然と受け入れも慣れてくると思います。ニュースや新聞だけでは出会えない、各国の様子や、その人ならではの視点に触れられるのも、この体験ならではの醍醐味です。
人生が変わる経験になると思うので、気になっている方は、まずは一度トライしてみてほしいですね。
